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家族信託は資産運用の自由度が高い?成年後見人よりもいい理由

こんな記事を見つけました。

従来の制度と家族信託制度との違いや、メリット・デメリットを詳しく解説しています。

お時間のある際に、ぜひご覧になってみてください。

参照元:家族信託と成年後見人はどう違う?資産運用の自由度が高いのはどっち? | ニコニコニュース

https://news.nicovideo.jp/watch/nw5637977


家族信託のほかにも、財産管理や相続、認知症に関連したさまざまな制度があります。

生前贈与や生命保険は、今まで生前の相続対策に活用されてきました。

成年後見制度は、認知症などで判断能力を欠くことになった場合に活用されています。

今回は、従来の制度と比べて、家族信託にどんなメリットデメリットがあるかを考えてみましょう。

1.後見制度よりも資産の運用がしやすい

「後見制度」とは、判断能力が不十分な人を守る制度です。

契約などの法律行為を行えない人を後見人等が代理し、必要な契約等を締結する、財産を管理するなどすることで、本人の保護を図ります。

1-1 2種類の後見制度

法定後見と任意後見の2つがある法定後見制度は、既に判断能力が不十分な時に、申立により家庭裁判所によって選任された後見人等が本人に代わって財産や権利を守り、本人を法的に支援します。

任意後見制度は、本人が元気で判断能力があるうちに、将来、自らの判断能力が低下した場合に備え、任意後見人を選び、公正証書で任意後見契約を結んでおくもので、将来、判断能力が不十分となった時に備えるための制度です。

1-2 資産運用の自由度は家族信託のほうが高い

後見制度を利用すると、毎年、家庭裁判所への報告義務が発生します。

また、法廷後見人として身内が後見人になるとは限りません。

資産を保護する活動はしてくれますが、本人や家族のために、積極的な資産運用を行ってくれないケースが少なくありません。

家族信託なら自分が元気なうちから、資産の管理・処分を託すことができ、もし、万が一判断能力を喪失したときも、自分の意向に沿った財産管理を行えます。

不動産の売却や買い換え、アパート建設などの資産運用・組替えも、受託者である家族により可能です。

信託において、受託者は信託財産の管理運用を行なうことができますが、成年後見人のように、本人に代わって身の回りの世話や一切の契約ごとの管理を包括的行ったり、本人のした契約を取り消したりする成年後見人のような権限はありません。

2.生前贈与よりも財産管理の自由度が高くなる

相続対策として生前贈与が行われる場合がありますが、生前贈与では主に高額な贈与税が問題になります。

贈与税の基礎控除額は110万円。相続税に比べて高い税率です。

贈与税が非課税になる特例もありますが、住宅の購入や教育資金、結婚・子育て資金と使用目的が限定されています。

一度贈与した財産を戻すことができない点もデメリットとして挙げられます。

贈与税の非課税制度を利用して限度額いっぱいの金額を孫に贈与したものの、あとから介護費用が必要になってお金に困るといったケースもあります。

家族信託ならば、受託者による財産の処分や運用方法の変更を行うことができるため、いざという時にも現金化することができるのです。

家族信託のほうが多目的な用途に使用可能だといえます。

3.生命保険は健康でないと加入が難しい

生命保険の死亡保険金は、指定された受取人の固有財産で遺産分割の対象にはなりません。

そのために、相続が発生した場合に特定の人に財産を渡したい場合に有効な方法です。

ただし、生命保険に加入するには、被保険者が健康でなければなりません。

受取人は誰でもよいわけではなく、一般的に孫、祖父母、兄弟姉妹(義理含む)の2親等以内の親族とされています。

家族信託の受益者、受託者は、基本的には「家族」であり、保険の受取人に比べ広範囲となっています。

ただし、信託契約は委託者と受託者の信頼関係が何より重要です。

信託は「信用して託す」わけですから、信頼できる家族がいないなら家族信託を利用することはできません。

なお、家族信託で、受益者が未成年や高齢者など、自ら監督することが難しい場合は、信託監督人をつけることができる場合があります。

4.遺言書よりも長く財産管理の道筋を示せる

相続対策として遺言書を書く人が多くなっていますが、財産承継について遺言で指定できるのは自身が死亡したときの相続までで、その次の代の相続については指定できないのをご存知でしょうか。

遺産を子どもに相続させることを指定できても、その子どもから孫に遺産を継がせる(2次相続と言います)ことまでは指定できません。

遺言書は万能ではないのです。

家族信託では、自分の希望する順番で何段階かに分けて受益者の指定が可能となります。

1次相続者である高齢の配偶者などが認知症や障害により遺言が書けない場合でも、遺言を書いたのと同じ効果になるので、遺産分割協議による争いを回避できます。

5.まとめ

家族信託で注意してほしいのは、相続税です。不動産相続は注意が必要です。

相続で「所有権」を取得した人に相続税が課税されますが、家族信託を利用して不動産を信託した場合は、所有権を取得した人ではなく、受益権を取得した人に対して相続税が課税されます。

受益権の評価額は、その不動産の相続税評価額と同じです。

家族信託それ自体で相続税評価額が引き下げられるわけではありません。

このデメリットを考慮しても、家族信託は、後見制度や遺言、贈与などに比べ、財産管理において思い通りの財産承継ができる制度ですので、一度家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。

ファイナンシャルプランナー(AFP)/宅地建物取引士一般社団法人/家族信託普及協会®会員 吉井 希宥美

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