「デジタル終活」のススメ 相続や支払いトラブル防ぐ
こんな記事を発見しました。
亡くなられた方が生前に所有していたスマートフォンやパソコンの中の写真等のデータをどう取り扱うかという内容です。デジタル社会ならではの問題です。
お時間のある際にご覧になってください。
参照元:NIKKEIプラス1
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO40674260Q9A130C1W07000
亡くなった人のスマートフォン(スマホ)やパソコンが原因で、未納金の支払いやコンテンツ削除など、遺族がトラブルを抱えるケースが増えている。「もしも」に備え、デジタル情報を誰かに引き継ぐ「デジタル終活」を考えてみよう。
■継続的に費用を請求されるケースも
「金や契約が絡むデジタル遺品に頭を悩ませる遺族は多い」と話すのは、デジタル遺品研究会ルクシー(東京・港)代表の古田雄介さん。
デジタル遺品は持ち主が亡くなり、遺品となったスマホやパソコンなどのデジタル機器に残されたデータのこと。写真や文章だけでなく、インターネット上の登録情報やブログ、ネットショッピングなども含む。
トラブルになるのが金銭にまつわる事。電子新聞やネットマンガの定期購読、ネットショッピングの定期便サービス利用は契約を自動更新するシステムが多い。故人が契約した有料の定額サービスを知らず、継続的に費用を請求されるケースも。「死亡解約による未払い分は改めて請求する」と利用規約に明記するサービスは死後、数カ月たって支払い漏れとの連絡が届く。
日本デジタル終活協会(東京・千代田)の代表理事で、弁護士の伊勢田篤史さんはこうした事例を目の当たりにしている。利用者の死後、電子書籍や動画サイトでコンテンツを購入しダウンロードしたものが消えてしまい、遺族とサービス提供会社がトラブルになることも。しかし、「コンテンツは利用規約上、所有権ではなく閲覧権。相続できないケースが多い」。
■相続トラブルに発展
深刻な場合もある。最近ではネット上で契約や決済が完結する、便利なネット銀行を利用する人が増えている。遺族が連絡をすれば契約終了できるが、故人の取引金融機関を把握しきれず、知らないままになっているのが背景だ。
その口座を使い、家族に隠れて、外国為替証拠金(FX)取引や仮想通貨取引をしている場合がある。埋もれた金融資産や負債を知らずにいると後々、相続トラブルに発展する可能性も否定できない。
古田さんには「生前、仮想通貨に興味があると話していた。実際に取引していたか、調べたいがパスワードが分からない」といった相談もある。
IDやパスワードは、使っている本人以外は知らないことが多い。スマホなどを確認したくても、できないのが現状だ。パスワード解除を専門業者に頼むと「スマホの復旧にかかる費用は平均23万円。パソコンは5万円前後」(古田さん)と多額だ。
■紙にパスワード
デジタル機器の設定によっては、パスワード入力を一定数間違えると、自動的にデータが消去されることがある。こうなると手の打ちようがなくなってしまう。
伊勢田さんはトラブルを防ぐためのデジタル終活をすすめる。日本デジタル終活協会が定期的に開くデジタル終活セミナーには20代の学生から、終活に取り組む80代まで幅広く集まる。終活といっても、デジタル機器を使うならば、誰にでも起こりうる問題だからだ。
■キャッシュレス化で複雑に
墓や弔い方の希望をまとめるエンディングノートのように「デジタルエンディングノート」を作り「スマホのIDやパスワードを書き残すことが有効」と伊勢田さん。個人情報やセキュリティー対策としてパスワードは「出身大学」などのヒントにとどめる。持ち歩いてなくさないようA4の紙に書き、小さく畳んで通帳にはさんで印鑑と一緒に金庫に隠しておくのもいい。
デジタルエンディングノートには「どんなデジタル遺品があるのか棚卸しをしたうえで、残すものとそうでないものに分け、それぞれについて対応の希望を記録しておく」(伊勢田さん)ことをすすめる。スマホや携帯電話を買い替えたときは更新したり、1年ごとに見直したりしよう。
電子マネーやスマホ決済が広がっている。古田さんは、「キャッシュレス化が進むことで、ますます金銭関係の問題が増えるのでは」と話す。
(ライター 児玉 奈保美)