50代から始める相続税対策(1)うちは課税されるの?
こんな記事を見つけました。
相続税対策に関する記事です。
お時間のある際に、ご覧になってみてください。
参照元:【終活の経済学】50代から始める相続税対策(1)うちは課税されるの? – SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト
https://www.sankeibiz.jp/econome/news/190506/ecc1905060800004-n1.htm
■15年の制度改正で対象者倍増
かつて相続税は一部のお金持ちだけにかかる税金だったが、2015年の税制改正によりその対象者は一挙に倍近くに増えた。だが、むやみに相続税対策をするのは考えもの。まずは相続財産を冷静に判断し、どんな対策が可能かを見極めることが肝心だ。その上で相続税対策が必要と分かったら、早く始めた方がお得。対策の難易度別に「入門編」から「上級編」まで、相続専門の税理士、石倉英樹氏が指南する。
◆基礎控除額に注目
相続税は全ての人にかかる税金ではなく、かかる人とかからない人がいる。その境目は「基礎控除額」という金額だ。「一定金額以上」の財産を持っている人は相続税がかかり、「一定金額以下」であればそもそも相続税がかからないため、節税は気にしなくてよい。
基礎控除額の計算はシンプルで、誰でも自分でできる。計算式は「基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数」。
子供が1人で配偶者が存命なら、法定相続人は配偶者と子供の2人になるため「3000万円+600万円×2人=4200万円」と、基礎控除額は4200万円となる。保有している全ての財産の合計額が4200万円を超えなければ、相続税は0円。節税の心配は無用だ。
また、配偶者と子供2人がいる場合のように法定相続人が3人であれば「3000万円+600万円×3人=4800万円」で、保有している財産額が4800万円を超えなければ相続税はかからない。
かつて基礎控除額は法定相続人が2人なら7000万円、3人なら8000万円まで認められていたため実際に相続税がかかる人は少なかったが、2015年1月に現在の水準に引き下げられた。その結果、14年までは相続税が課税される対象者は4%あまりだったのに対し、15年以降は8%台と倍増した。
具体例をあげると、大都市圏内に土地・建物を所有し、若干の預金や株などを持っていると、保有財産額が基礎控除額を超える可能性、つまり相続税がかかる可能性が出てくる。
◆微妙な場合は試算を
自分の所有財産に相続税がかかるかどうか判断が微妙な場合、試算もできる。表に従って相続財産を試算してみよう。
まず(1)現金(2)預金については「現在の残高」をそのまま記入する。株式や投資信託などの(3)有価証券は証券会社から送られてくる報告書などに従って「直近の評価額」を記入する。
かつて基礎控除額は法定相続人が2人なら7000万円、3人なら8000万円まで認められていたため実際に相続税がかかる人は少なかったが、2015年1月に現在の水準に引き下げられた。その結果、14年までは相続税が課税される対象者は4%あまりだったのに対し、15年以降は8%台と倍増した。
具体例をあげると、大都市圏内に土地・建物を所有し、若干の預金や株などを持っていると、保有財産額が基礎控除額を超える可能性、つまり相続税がかかる可能性が出てくる。
◆微妙な場合は試算を
自分の所有財産に相続税がかかるかどうか判断が微妙な場合、試算もできる。表に従って相続財産を試算してみよう。
まず(1)現金(2)預金については「現在の残高」をそのまま記入する。株式や投資信託などの(3)有価証券は証券会社から送られてくる報告書などに従って「直近の評価額」を記入する。
次に不動産だ。(4)建物については、毎年5月頃に市区町村から送られてくる「固定資産税の課税明細書」に従って「直近の固定資産税評価額」を記入する。
少しややこしいのが(5)土地の評価で、大きく2パターンに分かれる。「路線価」がある土地は、路線価に土地の面積(平方メートル)をかければ試算できる(ただし実際の相続税の計算の際は、土地の形状、立地などに応じて評価が異なる)。「路線価」がない土地の場合は「固定資産税評価額」を記載すれば、大まかな試算という意味では問題ない(ただし、これも実際の相続税の計算の際は、土地の利用状況などに応じて評価が異なる)。
そのほか、(6)自動車や貴金属、書画骨董(こっとう)など、財産価値のあるものについてもその評価額を記入。(7)借入金がある場合には銀行からの報告書などに従って「直近の残高」を記載し、最後に法定相続人の人数に応じて(9)基礎控除額を記入する。
その結果、(10)最終数字が大幅にプラスになっていると相続税が発生する可能性が高く、大幅にマイナスになっていると相続税が発生しない可能性が高いといえる。
※本計算は試算のため、最終的な判断は税理士など専門家にご相談ください。
■「配偶者の税額軽減」など2つの特例
基礎控除額を超える財産を持っていると本来なら相続税がかかるが、知っていると得する大きな特例が2つある。「相続税を減らす」「土地の評価額を割引する」という“サービス”で、特例に当てはまる場合は相続税がかからない可能性がある。
一つは「配偶者の税額軽減」で、配偶者が相続する場合、法定相続分を上回らない範囲で相続する限りは相続税がかからない。配偶者の法定相続分が5000万円の場合、5000万円以下の財産を配偶者が相続するのであれば相続税は0円になる。
配偶者の法定相続分は、他にどのような相続人がいるかによって変わってくる。配偶者と子供が相続人の場合、配偶者の法定相続分は「2分の1」。配偶者と、亡くなった人の親が相続人になる場合は、配偶者の法定相続分は「3分の2」。配偶者と、亡くなった人の兄弟姉妹が相続人になる場合には、配偶者の法定相続分は「4分の3」となる。
この法定相続分を超えない限り配偶者には相続税がかからない。配偶者に優しい特例だが、さらにおまけがある。それは、仮に法定相続分を超えて配偶者が相続した場合でも、相続財産が1億6000万円を超えていなければ相続税はかからないという点だ。相続財産が1億6000万円以下なら、全財産を配偶者が相続すれば相続税を0円に抑えることができる。
子供の立場からすると「父親の財産はとりあえず全部母親に相続してもらえばいい」となりそうだが、落とし穴がある。後に母親が亡くなったとき(2次相続)には既に配偶者が亡くなっているため「配偶者の税額軽減」という特例は使えない。つまり2次相続のときに大きな相続税がかかる可能性があるため、特例を使う場合には将来の影響も見据えて考えた方が良い。
もう一つは「小規模宅地等の特例」。相続税がかかる場合、一番金額の大きな相続財産は自宅の土地になるケースが多いが、一定要件を満たした場合には自宅の土地が割り引かれるものだ。適用面積は居住用宅地の場合330平方メートルまでと制限があるが、自宅の土地の評価を「8割」も減らすことができる。
亡くなった人の配偶者が自宅を相続した場合のほか、亡くなった人と同居していた親族が自宅を相続し、亡くなった後10カ月間そこに住み続けるとともにその自宅を保有していた場合などにも適用できる。どちらの特例も利用する場合には、相続税の申告手続きが必要になる。(『終活読本ソナエ』2019年新春号から、随時掲載)
【プロフィル】いしくら・ひでき
税理士、公認会計士。1973年、埼玉県生まれ。監査法人勤務などを経て、2014年に石倉公認会計士事務所(さいたま市中央区)を設立。主に相続専門の税理士として活躍。