お寺で触れよう!伝統文化
2018年4月24日、佛心寺 東京布教所に鳥取県の中学校からお客さまがありました。
修学旅行中の生徒さんが、「伝統を受け継ぐ人に学ぶ」というテーマで、インタビュアーとしてはるばる訪ねてこられたのです。
緊張しながら座っている生徒さんに、新田住職が雅楽の紹介を始めます。
「雅楽は世界最古のオーケストラと言われますが、初めは仏教とともに大陸から伝来しました。現在では雅楽=神社というイメージですが、もともと仏教とセットだったものなんです。では、雅楽ならではの楽器、また仏の世界の音色と言われる笙の音色を聴いてください……」
生徒さん達の食い入るような眼差しが、住職さんに注がれます。
その瞬間、力強くも繊細な笙の音色が複雑なハーモニーを生み出します。
幻想的な世界にいざなわれるようなその音はまさしく仏の世界のよう……
生徒さん達の表情から緊張が解けて、ホッとリラックス。笑顔で住職さんへ質問します。
Q:雅楽の演奏で一番大切なことは?
A:人との調和です。雅楽には指揮者がいません。だから周りの人の演奏をよく聞いて、調和するように自分の音を出さなければいけません。これは普段の人間関係でも同じです。人の声をよく聞いて、みんなと調和していくことが大切です。
Q:日本の伝統文化を受け継ぐことの大切さとは?
A:雅楽で言えば、日本に伝来して1500年もの歴史があります。これだけ長く受け継がれた伝統でも、演奏する人や楽器を作る人がいなくなったら、二度と復活させることができません。だから伝統文化は、守り伝えることが大切なんです。
Q:これからの夢はなんですか?
A:雅楽や仏教といった活動を通して、古いものを大切にしながらも、これからの時代を前向きに一歩踏み出していこうと思える人が増えてほしいです。
生徒さん達は、住職さんのお話にうなずき、メモを取りながら一生懸命に聴いていました。
最後に「ありがとうございました!!」と、深々とお辞儀をして帰っていく生徒さん達の後ろ姿を、優しい笑顔で見送る住職さんでした。
現代の生活の中では、日本の伝統文化に触れる機会は少なくなっています。
今回、修学旅行で雅楽に触れた生徒さんたちは、伝統文化について改めて考える貴重な体験となったことでしょう。
また、雅楽を通して、伝統を守ることや人との調和の大切さを心から学ばれたことと思います。
悠久の歴史の中で培われた伝統や知恵。
若い世代へと受け継がれていく光景を目の当たりにし、筆者も胸が熱くなりました。
日本の未来を担う若者たちが、伝統文化に目を輝かせている姿に頼もしさを覚えた限りです。
お寺の活動と言えば法事のイメージが強いですが、「伝統文化を守り伝える」ということもお寺の重要な役割の一つであったことを初めて知りました。お寺のイメージが少し変わり、とても興味がわいてきました。
このような活動は、私たちにとってお寺をより身近な存在にしてくれるもの。他にも独自の活動をされているお寺を探して、取材してみたいと思いました。
(取材部:山岡)