人形供養のお参り
― ものを手放す、その向こうにある感謝のかたち ―
令和7年4月9日、人形供養を執り行いました。
当日は、約500体のお人形が集まり、それぞれの物語と想いが込められた一体一体を前に、静かに手を合わせ、感謝と祈りの時間を持ちました。
お預かりしたお人形には、それぞれに温かな背景がありました。
あるご家族は、幼い頃に娘さんのために贈られた人形を持参されました。
娘さんたちは今では立派な大人になり、社会で活躍されているそうです。
「この子がずっと、娘たちの成長を見守ってくれていたように思うんです」と、感謝の気持ちを込めて丁寧に供養されました。
また、最近ご親族を亡くされた方からは、遺品整理のなかで出てきた一体のお人形についてのお話がありました。
古い写真の中に写っていたその人形を見て「きっと大切にされていたものだから、粗末に扱うことはできない」と感じられ、今回の供養に足を運んでくださいました。
人形供養ご参加の方へ
こうしたお話に触れるたび、「人形」とは単なる“物”ではなく、誰かの人生の一場面や、大切な感情のよりどころとなってきた存在なのだとあらためて感じさせられます。人形供養とは、ただ物を手放す行為ではなく、ともに過ごしてきた時間に感謝し、記憶と気持ちにひと区切りをつける、心の営みでもあります。
今日、この場に集ったすべてのお人形たちが、温かく見送られていくこと。
そして、持ち主の皆さまの心にも、やさしい区切りと安らぎが訪れますようにと願っています。
お人形をお預けくださった皆さま、またご供養に関わってくださった皆さまに、心より御礼申し上げます。