親の認知症 “任意後見”等で子が財産整理を進めることも可能
こんな記事を見つけました。
親が認知症になると、親の契約を解除できなかったり、口座を凍結できなくなります、。
それを事前の用意で防ぐことができるのが「任意後見」「家族信託」になります。
それぞれ特徴がありますので、お時間のある際にご覧になってみてください。
親の財産の整理手続きを難しくするのが、認知症だ。川崎相続遺言法律事務所の小林賢一弁護士がいう。
「携帯電話や購読している新聞は、親の契約を子供が勝手に解約することは法律的にはできません。手続きを代行する旨を記した本人の委任状が必要ですが、認知症を発症すると、有効な委任状を作成できない場合もある」
こうした状況では親名義の銀行口座も事実上凍結される。最悪の事態に備えて積極的に活用したいのは、「任意(成年)後見」と「家族信託」という2つの制度だ。
任意後見は、あらかじめ家族の1人を後見人に指名しておけば、認知症が進んだ段階で後見人が家庭裁判所に届け出て親の財産を管理できる制度だ。後見人になった子供は親の口座などから預金を引き出す権限を持つが、使途は裁判所が選任した後見監督人(弁護士など)のチェックを受ける。
「事前の公証役場への相談は子供だけでも可能で、必ずしも弁護士や司法書士といった専門家を介する必要はありません。相談の際に印鑑登録証明書と本籍記載の住民票を持参してください。公証役場での契約の段階では、親も行く必要があり、それぞれの実印を持っていきます」(弁護士の遠藤英嗣氏)
後見開始の申し立ての際は医師の診断書を求められるため、子供が取得した上で、家裁で手続きする。子供が任意後見人となれば、委任状なしで公共料金、新聞等の解約ができるようになる。
家族信託は、親が元気なうちから家族に資産の一部を信託し、運用・管理を委ねる制度だ。契約を通じて信託した財産は、受託者である家族に管理を委ねられるため、内容次第で家族は広い財産処分権を持つというメリットがある。
弁護士など専門家への相談は子供だけでもできるが、契約書の作成は親子が立ち会うことになる。
「契約では信託の目的や財産を託される子の権限、財産から出た収益の帰属先などを定める必要があるため、弁護士や司法書士など専門家に依頼する必要があります。
その後、公証役場で公正証書の作成に進む。不動産の名義変更と信託口口座の開設をしますが、これらは受託者である子供が進められます」(同前)
※週刊ポスト2019年3月8日号