お手紙掲示板2025年8月号

縁の中で
生きる
「私」
お盆に手を合わせるとき、私たちは過去の人や先祖に祈っているように見えるかもしれません。
けれどその祈りは、実はいまを生きる私自身を支えてくれています。「私は私」と思いながらも、その「私」は一人で立っているのではありません。
両親や先祖、出会ってきた人々とのつながりの中から立ち上がってきた存在です。
人間関係を研究する学問では、人は役割やつながりの中で「自分」を形づくると言われます。同じように、仏教も私を「縁」の中に生かされている存在と説きます。だから、祈りは過去を懐かしむことにとどまらず、いまここでの「私」を確かめ直すひとときでもあるのです。
そう思うと、孤立していると思えた「私」が、
多くのいのちに支えられた「私」へと変わっていきます。それが「おかげさま」ということなのかもしれません。
私を支える見えないはたらきが、先祖への祈りの中にも息づいていますね。
合掌
