お手紙掲示板2025年5月号
語ることが縁をつくり
つながりを育てる
ふとしたときに、誰かに思い出を話したくなることがあります。懐かしい風景、交わした言葉、うれしかったこと、少し苦しかったこと。
それは、ただ昔話をしているようでいて、自分の心の奥にある大切なものを、あらためて見つめ直している時間なのかもしれません。
そして、誰かに語ることで、自分のなかで整理されることもあります。言葉にしようとするその過程で「ああ、自分はこんなことを大事にしていたんだな」と気づかされることもあります。
思い出は、心の中にしまっておくだけでなく、ときどき声に出して誰かと分かち合うことで、今を生きる「私」の心を、支えてくれるものになります。
また、お話を聞いた人の心にも、「私」の思いが、そっと宿ることがあります。それは、記憶の中にある一つひとつのエピソードが、言葉を通して手渡されていくあたたかな瞬間です。
仏教では、人は「つながりの中で生きている」と説かれます。語ること、聞くことーーーその一つひとつが、心と心を結ぶ、やさしい「つながり」を表しているのかも知れませんね。
合掌
※8月に合同のお盆法要をお勤めいたします。お早めにお申し込みください。