お手紙掲示板2024年12月号
違いはよく見えるが、
共通点はよく見えない
「あの人とは違う」「あんな人の気持ちはわからない」私たちは、ついこんな言葉を口にしてしまいます。人は自然と、他の人との「違い」に目が向きがちです。
特に、痛ましい事件や理解し難い出来事に接するとき、私たちはこの「違い」をより強く意識してしまいます。そして、お互いの共通点を探そうとする気持ちさえ失ってしまいます。
しかし仏教の教えは、この「違い」を超えて、より深いところにある「共通点」に気づくことの大切さを説きます。
例えば、重大な罪を犯した人を目にしたとき、多くの方は「自分とは違う」と感じるでしょう。しかし、その行為の背後にある感情(怒り・嫉妬)は、私たち一人一人が持っている感情でもあります。
日常の些細な場面でも同じことが言え、競争心や優越感、これらの感情も、誰もが持っているものです。
この「同じ人間として見る」という教えは、決して悪事を正当化するものではありません。むしろ、誰もが同じ感情や弱さを持つ存在だと理解することで、他者への共感を育み、自分自身の心と向き合う機会を与えてくれるのだと思います。
合掌
来年も引き続きよろしくお願いします。